概要

情報とはテレビやインターネットなどのメディアで表現されるものだけではない。我々の身の回りの物理的な環境はすでに豊かな情報空間である。本演習では、その豊かな情報空間から情報を獲得するために、自ら能動的に観て歩く「フィールドワーク」に基づいて情報を採集・表現・共有することを学ぶ。

 

コンピュータ上だけにリッチコンテンツを制作するのではなく、豊かな情報空間である現場にアクセスするための情報ツールと、現場での経験をより深めるためのコンテンツをデザインする。特に実物そのものが価値ある情報として人々に共有されるように、触知できるモデルとネットワーク上に展開するコンテンツが相互に補完できるような情報支援ツールの制作を試みる。

課題

FIELED LIBRARY

自然科学の興味深い出来事を、子供たちの学びを支援するツールへとデザインし、自然科学に対する知の涵養を促すためのコンテンツを制作する。

 

対象となる領域とターゲット

小学校5年生理科「流れる水のはたらき」を中心として

 

制作

Physical Computingをベースとして、小学生が興味を持って触知しながらインタラクティブに学ぶことができるモデルと、現場での経験を振り返り、web上でさらに探究できるコンテンツを制作する。

協力

川崎市立登戸小学校

 

二ヶ領せせらぎ館(NPO法人多摩川エコミュージアム)

 

株式会社スイッチサイエンス

第1回:9月27日

 

応用演習キックオフ

プログラム制に移行して初めての応用演習がスタートです。課題は小学校の理科教材の制作。対象領域は小学校5年生「流れる水のはたらき」ということで、登戸小学校にご協力頂き、連携して進めていきます。初日は一緒に活動していくチームを決め、お互いに意見を出し合って議論をし、チームの合意を導き出すための練習から始めます。

フィールドワーク:10月3日

 

二ヶ領せせらぎ館ワークショップ

川の水のはたらき、特に身近な存在である多摩川について体験的に学ぶために、二ヶ領せせらぎ館にご協力頂き、体験型ワークショップを実施。多摩川の歴史、周辺に生きる動植物、現状のようす、抱える問題点など幅広くお話しを伺いました。実際に二ヶ領用水に入って水の温度も体感してみました。

第2回:10月4日

 

登戸小学校ワークショップ

ユーザを理解し交流を深めることを目的として、登戸小学校の5年生130人に専修大学まで来てもらい、ワークショップを行いました。多摩川全域の大きな地図を用意して、多摩川流域に住む動植物や川の様子、石のかたちや大きさなどの特徴が描かれた32枚のカードを川のどの流域に関連する事柄なのかを一緒に考えて並べていきます。

 

 

特別講義:上越教育大学大学院 久保田善彦 先生

小・中学校の教師のご経験もあり、現在は上越教育大学大学院において理科教育、教育工学、臨床教科教育学を中心に研究をされている久保田善彦先生にご講演をお願いしました。子どもたちが教科書を使いどのように学ぶのか、具体的な教材の活用方法までたくさんのヒントが詰まったお話を伺うことができました。

→ 久保田研究室webサイト

 

第3回:10月11日

 

PhysicalComputing ワークショップ

教材を制作するにあたり、PhysicalComputingの考え方を取り入れて制作をすすめます。子どもたちと教材とのインタラクションをより豊かなものにするために、マウスやキーボードに限定されない、子どもたちの自然なふるまいと教材がうまくリンクできるようにインタラクションを考えます。ベースとなる技術はGainerです。GainerはPhysicalComputingを簡単に実現するための環境の1つで、電子工作に不慣れでも試行錯誤しながら進めることができます。

第4回:10月18日

 

企画立案 /シャッフルディスカッション

メンバーで持ち寄ったアイデアを相互評価し合い、ひとつの実現可能な企画(ThemeMap)へと絞っていきます。また、そのThemeMapをもとにシャッフルディスカッションを行い、自分たちの企画について他者から意見をもらいます。自分たちの企画を他者にプレゼンテーションすることによって自身の企画の曖昧な部分を改めて確認し合います。

第5回:10月25日

 

プロトタイプ制作

「企画」として頭の中と紙の上にだけ存在していた形のないものに具体的な形を与え、目に見える、触れられるモノとして定着させます。形にすることで使用状況や動作が具体的に検証可能になります。頭だけではなく、手を使って企画をどんどん形にすることが肝要です。また、変更・改善しやすいように扱いやすい素材を使って作るのもポイントです。

第6回:11月1日

 

シナリオ制作/アクティングアウト

想定したユーザーがそのコンテンツを利用してどのようなシーンが展開されるのか、ユーザーにどのような経験をもたらすのかを想像し、シナリオとして展開します。プロトタイプが完成したら、シナリオに従ってアクティングアウト(演劇でいう「通し稽古」)を行います。自ら演じてみることで、コンテンツやプロダクトがユーザとインタラクションする場面でどのような意味を持つのか具体的に検討することができます。

第7回:11月8日

 

中間プレゼンテーション

プロトタイプを用いて、ポスターセッション形式で第三者にプレゼンテーションをします。限られた時間内に実際にプロトタイプに触れてもらい、自分たちのチームの想定通りに他者が理解してくれるのか、インタラクションは自然でわかりやすいものになっているのか、興味を引くコンテンツになっているのかを相互評価します。

 

 

相互評価

当日は、登戸小学校の先生方にもご参加頂き、現場の先生の目線で5年生の教材として相応しいものになっているか確認とアドバイスをもらいました。インタラクションの面白さはもちろん大事ですが、この教材を通して小学生に実際の川や水のはたらきに興味をもって学んでもらえるようになることが肝要です。

第8回:11月15日

 

コンテンツ制作1

中間プレゼンを経て、本制作の開始です。第三者に評価してもらうことで発見できた作者が思いもよらないふるまいや思考の違いを加味して、修正箇所を洗い出し、もう一度企画内容が適切であったか再検討し企画を改善します。プロトタイプを壊し改善することは決して無駄ではなく、より良いものを作るための必要なプロセスでもあります。

第9回:11月22日

 

コンテンツ制作2

引き続き、修正点をふまえてコンテンツを制作していきます。とくにインタフェースの設計に関して、ガイドラインを確認しながらより分かりやすく興味を持ってもらえるコンテンツになるように改善していきます。本番に備えて壊れないような素材と構造にすることも重要です。

第10回:11月29日

 

コンテンツ制作3

今回の制作はPhysicalComputingを取り入れるのも課題の重要な要素なので、意図したとおりにコンテンツが作動するように自ら回路を作って、gainerとセンサーを本番のモデルに組み込んでいきます。ユーザのどんなふるまいをセンシングするのか、ユーザの行為に対するフィードバックをできるだけ自然なかたちに表現するために試行錯誤が続きます。

第11回:12月6日

 

ユーザビリティ評価

小学校での発表を想定して、実際のモデルおよびコンテンツを使用し、その成果を相互評価します。ユーザとコンテンツ、モデルとのインタラクションに無理がないかどうか、モデルとコンテンツの連動はうまくいくか、全体の流れや段取りをシミュレーションして再確認します。

第12回:12月13日

 

最終調整・訪問準備

ユーザビリティ評価を経て、再度動作の確認を行います。インタラクションに不備や問題点があった箇所を修正し、本番に備えて最終調整をしていきます。また、小学校訪問用に看板となるA1サイズのポスターも制作します。

第13回:12月20日

 

最終プレゼンテーション/登戸小学校訪問

いよいよ成果が試される本番です。小学校を訪問して自分たちの制作した教材を用いて発表を行います。子どもたちの「知りたい」「学びたい」という欲求を引き出せるか、また、それを受け止めて一緒に学ぶ場をつくることができるかが試されます。

第14回:1月17日

 

メンバー相互評価/講評

最終日です。一期一会でチームになったメンバーをそれぞれどのような貢献をしたのか、お互いに評価し合います。また、それぞれ担当教員から講評をもらいます。成果をかたちにするためには、多くの試行錯誤が必要です。協働作業によるものづくりの面白さと難しさ、情報共有の大切さを体感できたでしょうか。

作品

 

スタッフ

 

教員

栗芝 正臣,  上平 崇仁,  星野 好晃(横浜国立大学大学院)→ たろぐ

 

TA

細谷 宏昌(東京藝術大学大学院),  石橋 悠子(駒沢女子大学非常勤講師)

 

SA

安嶋 大樹,  湯浅 朋美

 

OB

安井 良允(SwitchScience)→ imaginary answers

こどもたちの感想

 

本物のユーザからのフィードバック

こどもたちは、どのように受け止めてくれたのでしょうか。